指圧とは？ 按摩との違いや施術方法を解説

指圧という言葉は日本人になじみが深く、日常でも目や耳にする機会は非常に多いです。
しかし指圧が具体的にどのような施術なのか、どんな効果があるのかといった詳細まで理解しているという方は実は少ないです。
また、少々近しい施術である「按摩」との違いについてもあいまいになりがちなのが事実。
そこで今回は、指圧がいったいどういった施術なのか、また按摩との違いはどこにあるのかわかりやすく解説していきます。

指圧とは？定義と歴史も含めて基本を確認

指圧という言葉は街を歩いていて見かけることが多く、メディアなどでも耳にする機会があるため慣れ親しんでいる方は多いはずです。
しかし、指圧の定義や歴史も含めた基本的な概念までご存じという方は少ないはず。
まずは、指圧とはいったいどういった施術なのか、定義・歴史も含め基本を解説していきます。

指圧の基本概念

指圧の基本は、体の特定のポイント、つまりツボに対して一定の圧力を加えること。
ツボは東洋医学の考え方に基づいて選定されているもので、各ツボが異なる体の部分や臓器に対応している、という基本概念に基づいています。
指圧はツボに圧力を与えることによって体内のエネルギーの流れを整え、様々な効果・効能を引き出していきます。
指圧は単なるリラクゼーション目的のマッサージとは異なり、治療的な要素が強いのが特徴です。

指圧の起源と歴史

指圧の起源そのものは古代中国に遡りますが、現在浸透している指圧は日本で独自に発展し、現在の形となったものです。
指圧という言葉自体は明治時代に初めて使用されましたが、実際の施術法はそれ以前から存在していたとされています。
指圧が日本国内で大きく広まったのは、大正から昭和初期。
指圧師である浪越徳治郎という人物が指圧の技法を体系化し、広く普及させました。
彼の努力により、指圧は一般の人々にも広く認知され、健康法として定着していったのです。
また、浪越徳治郎は指圧の効果を科学的に証明し、医学的な裏付けを持たせることにも成功したことでも有名です。
令和になった現在でも指圧は日本国内外で広く実践されており、その効果と安全性が評価されています。

指圧に期待できる効果4選

古くから日本で発展し、その効果には医学的な裏付けもあるという優れた施術である指圧。
具体的にどのような効果が見込めるのか、代表的なものを4つピックアップしたので、詳しく解説していきます。

全身の緊張緩和と血行の促進

指圧の一つの大きな効果は、全身の緊張を緩和し、血行を促進すること。
指圧の施術によって筋肉のこわばりがほぐれ、血行が促進されることで、体内の酸素や栄養素の循環が改善され、全身の疲労回復が早まります。
長時間のデスクワークやストレスによって生じる肩こりや背中の痛みなど、現代の日本人が抱えやすい体の悩みに対して大きな効果を発揮してくれる指圧。
全身がほぐれることにより、リラックス効果もセットで得ることが可能です。

免疫力・消化機能の向上

指圧は免疫力を高め、消化機能を向上させる効果もあります。
内臓とつながる全身のツボを刺激することでリンパの流れが改善され、体内の老廃物の排出が促進されます。
これにより、免疫システムが活性化され、病気に対する抵抗力が強まっていくのです。
また、消化器系のツボを刺激することで胃腸の働きが活発になり、便秘や消化不良の改善が期待できます。
指圧の施術を受けると一気に全身の循環がスムーズになるため、体の巡りが悪いことに起因する不調には絶大な効果を発揮します。

体の痛みの軽減

指圧は体の慢性的な痛みや急性の痛みに対しても効果的です。
特定のツボに圧力を加えることで、痛みを和らげるエンドルフィンの分泌が促進され、関節痛や筋肉痛、頭痛などの痛みが軽減されるのです。
また、指圧は自然治癒力を高めるため、根本的な痛みの原因にもアプローチすることができるとされています。
定期的に、長期にわたって指圧に通う方が多いのはこれが理由ですね。

姿勢やホルモンバランスの調整

指圧は、姿勢を改善し、ホルモンバランスを整える効果もあります。
背骨や骨盤のゆがみを矯正することで正しい姿勢を維持しやすくなり、筋肉や関節への負担が軽減されるからです。
また、内分泌系に働きかけるツボを押すことによって、ホルモンバランスを整えることもでき、これにより更年期障害や月経前症候群（PMS）などの症状緩和にも役立つとされています。

指圧の施術方法の特徴と流れを簡単解説

指圧の施術をまだ受けたことがないという方のために、ここでは指圧の施術方法の特徴と流れを簡単に解説していきます。
これから指圧を受けてみようと検討している方は、ざっくりと頭に入れておいて損はありません。

施術前のカウンセリング

指圧の施術はまずカウンセリングから始まります。
患者の健康状態や具体的な悩みを聞き取り、指圧師が適切な施術プランを立てていきます。
具体的な困りごと、悩み事はしっかりとシートに記入し、担当者に伝えるようにすることが指圧の効果を高めます。

施術の準備

施術前には施術者は手を清潔にし、必要な器具を準備します。
全身のバランスや改善したい症状のある個所を簡単にチェックする作業も含まれます。
指圧を行う店舗によっては施術がしやすいような楽な服装に着替えるなど、患者サイドでも必要に応じて準備を行う必要があることはぜひ覚えておきましょう。

施術の開始

指圧は患者の体を軽く触れるところから始まります。
改善したい悩みに該当するツボに、手や指を使って圧を加えるのが指圧の基本。
圧力は一定に保ちつつ、施術者は患者の反応を見ながら圧力の強さや施術箇所を調整します。
悩みの内容や予約したプランによりますが、指圧を行う時間は短くて30分程度、長い場合だと1時間を超えることもあります。

施術後のケア

施術が終わった後は、アフターケアのアドバイスを受けられます。
施術後に行うと良いストレッチや、日常生活で気を付けるべき点などを提案してもらい、実践することで施術の効果を持続させ、健康な状態を維持することができます。

施術の効果確認

最後に、施術の効果を確認します。
体の施術前との違いをチェックしてもらい、必要に応じて次回の施術の予約や計画について相談を進めていきます。

間違える方も多い指圧と按摩の違いを3つの角度からご紹介

指圧の施術を検討する際、同時に「按摩」という選択肢を検討する方は少なくありません。
しかし指圧と按摩は正確に言えば別物であり、違いをしっかりと理解したうえで受ける施術を決めなければ、望んだ効果を得られないリスクにつながります。
そこで最後に、間違える方も多い指圧と按摩の違いを3つの重要な角度からご紹介していきます。

目的の違い

指圧と按摩の最大の違いは、施術の目的にあります。
指圧は主に特定のツボに圧力を加えることで体内のエネルギーの流れを整え、自然治癒力を高めることを目指しています。
一方で按摩は筋肉のこりをほぐし、血行を促進することでリラクゼーションや痛みの軽減を図ることを主な目的としています。
今の自分の悩みはどちらの目的に沿って施術を受けることで改善されるか、今一度考えてみましょう。

効果の違い

指圧は、特定のツボに働きかけることで、体全体のバランスを調整する効果があります。
ツボにピンポイントで圧を加えることで体の調子を整え、健康の維持増進、特定の症状の治療に役立つ側面が強いです。
一方で按摩は広範囲にわたって手技を用いることで、広範囲にわたる筋肉や関節のこりを直接的にほぐします。
ポイントというよりは、慢性的な全身の不調に働きかける側面が強い療法であると考えると、わかりやすいかもしれません。

細かな手技の違い

指圧では主に親指や手掌を使って特定のツボに一定の圧力を加えます。
施術の最初から最後まで、特定のツボを刺激するという流れは変わりません。
一方、按摩は「押す」「揉む」「叩く」といった多様な手技を用い、全身をマッサージし、体のさまざまな部位に対して多様な技法を組み合わせて施術を行います。
このように指圧と按摩は手技の違いも大きいため、悩みに合わせて施術を選ぶことも大切ですが、個人の好みで選ぶということも選択肢として考えてみましょう。
以下の記事では、按摩（あんま）について詳しく説明しております。
按摩（あんま）とは？ マッサージとの違いについても解説

まとめ

今回は、指圧とはいったいどういった施術なのかという点を中心に、よく混同されがちな按摩との違いについても解説しました。
指圧と按摩は、どちらも健康を促進するための伝統的な手技療法ですが、その目的や手技、効果には明確な違いがあります。
自分が解決したい悩みや不調に効果的にアプローチするためには、それぞれの特性を理解し、自分に合った療法を選ぶことが大切です。
改善したい悩み・不調があるという方はお近くの指圧・按摩を行う店舗をまずは調べてみるところから始めましょう。

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